日本人の平均寿命は長期的に右肩上がりで伸びており、この傾向は今後も続くのではないかと考えられています。
一般的には、長生きできることは良いことだと捉えられることが多いように思います。
医療の進歩や生活環境の改善によって寿命が延びてきたこと自体は、社会の発展の結果とも言えるでしょう。
ただ、現在の日本の社会制度を前提にすると、長寿命化が必ずしも単純なメリットだけとは言えないのではないか、とも感じています。
もちろん、個人が自分の寿命をコントロールできるわけではありません。
しかし、長寿命化によって社会の仕組みや人生設計がどのように変化していくのかを考えておくことは、自分の生き方を考えるうえで意味のあることのようにも思います。
今回は、長寿命化のメリットとデメリットについて、私なりに整理してみたいと思います。
長寿命化が社会にもたらす変化
まず、寿命が延びることによって、社会の仕組みがどのように変化していくのかを考えてみます。
すでに体感している人も多いと思いますが、代表的な変化として挙げられるのは、定年年齢の引き上げや年金受給開始年齢の後ろ倒しです。
平均寿命が延びれば、その分だけ社会制度も調整されていくのは自然な流れでしょう。
一般的な会社員を想定すると、寿命が延びた分は、そのまま労働期間に変換されていく可能性が高いように思います。
つまり、長寿命化は結果として労働期間の延長を招くということです。
この点については、デメリットと感じる人も多いのではないでしょうか。
単純に考えれば、働かなければならない期間が長くなるということだからです。
一方で、労働期間が長くなることにはメリットもあります。
働いている期間であっても、旅行や娯楽などの経験は可能ですし、収入を得られる期間が長くなることで、貯蓄を積み上げる時間も増えます。
ただし、これらのメリットは、長く働くことによるストレスや身体・精神への負担とトレードオフの関係にあるようにも思います。
そう考えると、労働期間の延長によって生まれるメリットとデメリットは、ある程度相殺され、私としてはデメリットの方が大きいのではと考えています。
健康寿命という視点
次に、健康寿命という視点から長寿命化を考えてみます。
平均寿命の上昇とともに、健康寿命もまた上昇傾向にあると言われています。
単純に数字だけを見ると、健康に過ごせる期間も一緒に伸びているため、退職後に元気に過ごせる時間は大きく変わっていないとも読み取れなくはありません。
ただ、素人ながらに感じるのは、年齢を重ねるほど体の不調や発病のリスクは高まっていくということです。
平均として健康寿命が延びているとしても、個人レベルで見れば、いつ体調を崩すかは誰にも分かりません。
また、退職の時期が後ろにずれるほど、自由に使える時間の質は少しずつ変わっていくようにも思います。
体力や気力が充実している時期にできる経験と、年齢を重ねてからの経験では、その内容や幅も自然と変わってくるでしょう。
そう考えると、単に寿命が延びるという事実だけではなく、「いつ、どの状態で時間を使えるのか」という視点も重要になってくるのではないかと感じています。
長寿命時代の生き方
長寿命化には、もちろん明確なメリットもあります。
たとえば、結婚して子どもがいる場合、孫と過ごせる可能性が高まることです。
寿命が延びれば、その時間も自然と長くなります。
家族との時間が増えるという点は、長寿命化の大きな恩恵の一つと言えるでしょう。
場合によっては、ひ孫と会える可能性もあります。
ただ、四世代ともなると年齢差も大きくなり、お互いを十分に認識し記憶に残る関係になるかという点では、そこまで大きなメリットとして考える必要はないかもしれません。
ここまで整理してみると、単純に考えれば長寿命化は労働期間の拡大を招き、その影響の方が大きいようにも感じます。
その一つの解決策として考えられるのが、早期退職との組み合わせではないでしょうか。
定年という制度は、本来「そこまで働かなければならない」という義務ではなく、「そこまで働くことができる」という権利として捉えることもできると思います。
自分のライフプランに合わせて働き方を調整し、どのタイミングで一区切りをつけるのかを主体的に考えることが重要になってくるのではないでしょうか。
必ずしも早く退職すれば良いという話ではありません。
たとえ一年や二年といった小さな調整であっても、自分の人生や働き方について考え、意識的に選択していくこと。
その積み重ねが、長寿命化の時代においてはより大切になっていくのではないかと感じています。
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