前編では、セミリタイア志向と定年退職志向それぞれの考え方を整理し、どの年代で優劣が分かれそうなのかを確認しました。
短命〜平均寿命ならセミリタイア志向が有利、長寿を前提にするなら定年退職志向が有利。
長生きリスクのしきい値は、およそ70〜80歳あたりにあるということになりました。
特に80歳以降をどう考えるかによって、どちらの立場が自分の価値観により近いのかが変わってきます。
そこで後編では、それぞれの立場に疑問を投げかけ、その答えを整理しながらまとめたいと思います。
追加の疑問と考えたこと
寿命による優位性を整理したところ、それぞれの立場に対して新たな疑問が生まれました。
まず浮かんだのは、セミリタイア志向は80歳以降をどう過ごすのか という問いです。
若いうちに自由時間を確保できるのは大きな価値ですが、その一方で、長生きした場合の資産リスクは避けて通れません。
次に考えたいのは、定年退職志向の80歳以降に安心以上の価値があるのか という問いです。
十分な資金を備えているのは強みですが、それが単に「安心感」にとどまるのか、それ以上の広がりがあるのかを見ていく必要があります。
それぞれの疑問に対して、回答を検討します。
セミリタイア志向への疑問
セミリタイア志向の場合、劣位となる80歳以降をどう過ごすのかが大きな課題になります。
年齢に応じて支出を縮小していく
高齢になると行動の選択肢や範囲が狭まっていくため、生活費の支出は自然と縮小していくと考えられます。
セミリタイアというスタイルを利用し、資産の取り崩しを和らげる
セミリタイア前後の立ち回りは調整可能です。
80歳以降のシミュレーションやリスク許容度に合わせて調整することでバランスが取れると考えます。
医療費リスクをあらかじめ制御する
完全にコントロールできるわけではありませんが、延命治療を避けるなどの方針を決めておくことで、予想外の医療費リスクをある程度抑えることができると考えます。
ざっくりとした考え方としては、骨折などの外傷であれば治療するが、がんなどの大きな病気については受け入れる、といった線引きです。
定年退職志向への疑問
定年退職志向の場合、80歳以降に得られる安心以外の価値はどこにあるのでしょうか?
介護施設や住まいを価格で妥協せずに選べる
資金の余裕によって、介護施設や住まいの選択肢が広がります。
しかし私自身は、健康寿命期における選択肢を増やしたいのであって、老後の住まいの幅が広がることには大きな魅力を感じません。
家族に対する贈与や援助が可能になる
子や孫への支援ができるのは確かに利点ですが、これは副産物的なものであり、私にとっては目指すべき目的ではありません。
基本的には「Die With Zero」という考え方に近く、自分の時間や体験を優先したいと思っています。
趣味や学びに投資して精神的な充実を追求できる
経済的に余裕があれば可能かもしれませんが、 その時期にはすでに体力を前提とする選択肢は失われています。
また、精神的な充実は80歳以降に限らず、セミリタイア志向の80歳以前の期間でも十分に追求できると考えます。
まとめ
ここまで整理してみると、寿命によって優位性が分かれること、そしてそれぞれの立場に残る課題が見えてきました。
私自身の価値観は「一度きりの人生における選択肢と経験の最大化」にあります。
その前提に立つと、やはりセミリタイアの方が自分には合っていると感じます。
今回の考察を通じて、普段は意識の外に置いてしまう定年退職の視点を取り入れることで、セミリタイアに潜む懸念事項を明確にできました。
そして、そうして見えた課題に対する準備を着実に進めていくことこそが、セミリタイアの実現につながると考えています。

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