住宅ローンは「固定」か「変動」か? | 50歳セミリタイアを志向する轍録(わだちろく)

住宅ローンは「固定」か「変動」か?

住まい計画

先日SNSで、住宅ローンは「固定金利か、変動金利か」という議論を見かけました。

「将来の安心を買うために固定にするか」「目先の低金利を取って変動にするか」——。

多くの場合、この選択は「金利の%(パーセンテージ)」や「将来への漠然とした不安」を軸に語られがちです。
今現在、私は変動金利で良いんじゃないかと考えています。

私自身は、今の状況であっても「変動金利で良いのではないか」と考えています。
今回は自分自身の思考整理のメモとして、なぜそう考えるに至ったのか、その理由を残しておきたいと思います。 

判断の決定打は「金利の%」ではなく「残高の絶対額」 

住宅ローンの選択でよく見落とされがちなのが、「ローン残高」です。

金利の議論をするとき、私たちはどうしても「0.5%」や「2.0%」といった金利の%に目を奪われがちです。
しかし、家計にとって本当に重要なのは「%」ではなく、「実際に支払う利息の絶対額(円)」です。
そしてその金額を大きく左右するのが、その時点での住宅ローンの残高です。

仮に借入額が4,000万円あるスタート直後の状態を考えてみます。

この残高が一番多い時期に、金利が1%違った場合の影響額は年間で約40万円(月々約3.3万円)にのぼります。
このスタート直後の10年間に、0.5%前後の変動金利と1.5%〜2.0%の固定金利のどちらを選ぶかによって、毎月・毎年の手元に残るお金の差は巨大なものになります。

残高が最も多く、利息の負担が最も重い初期段階だからこそ、少しでも低い金利(変動金利)を選択して返済効率を上げ、「元金」を減らしていくことが、結果として効果的だと考えています。

固定が追いつくまでの「タイムラグ」と「累計支払額」の壁 

「でも、これから金利が上がったら変動金利は損をするのでは?」という疑問は当然浮かびます。
しかし、ここで考えるべきは「金利が追いつくまでのタイムラグ」と「過去に浮かせた利息の累計額」です。

仮に、現在の変動金利が0.6%、固定金利が2.0%(金利差1.4%)だとします。

今後、日銀が利上げを進め、仮に毎年0.25%ずつというペースで変動金利が上昇したとしても、固定金利の2.0%に追いつくまでに約5〜6年の月日がかかります。

そして重要なのは、「金利が固定に追いついた瞬間」は、まだ損益の分岐点ではないということです。

追いつくまでの5〜6年間、変動金利を選んでいたことで浮いた大量の利息差額(累計で何百万円もの差)が存在します。
6年目に金利が固定と並び、7年目以降に変動が固定を上回ったとしても、その「過去貯めた利息の貯金」を使い果たしてトータルで固定に逆転されるまでには、さらにそこから数年(合計で10年近く)の時間がかかります。

そして、10年という歳月が流れた頃には、毎月の返済によってローン残高自体が大きく減っています(4,000万円から3,000万円以下へ)。

「金利が上がってから損に転じるまでのタイムラグ」と「その間に減っていく残高」を計算に入れると、よほど急激なペースで利上げが続かない限り、固定金利がトータルの支払額で逆転するのは構造的にかなり難しいと考えています。

「急激な金利上昇=インフレ」という相殺効果 

もうひとつ、金利上昇のリスクを考える上で見落とせないのが「マクロ経済との連動」です。

変動金利のリスクとして「もし短期間で金利が3%や4%に急騰したらどうするのか」という懸念が挙げられます。
しかし、日銀がそれほどの勢いで利上げを行うのは、「強烈なインフレが起き、世の中の物価や賃金が大きく上昇している局面」だけです。

もし仮に、数年のうちに金利が跳ね上がるような事態になったとすれば、それは社会全体の物価や世帯収入(名目賃金)もベースアップしている世界線です。

ここでポイントになるのが、「住宅ローンの借入額は増えない」ということです。

たとえば4,000万円という借金の額面は、どれだけインフレが起きても4,000万円のまま変わりません。世の中の物価や給料が上がり、お金自体の価値が下がっていくインフレ局面では、借金の実質的な重み(負担感)は勝手に目減りしていくことになります。

「金利が上がって支払額が増える」というマイナス面だけに目を奪われがちですが、その裏で「インフレによって負債の重みが軽くなる」という強い相殺効果が働きます。

経済の仕組みを俯瞰して考えると、「金利上昇のインパクトだけを単体で取り出して恐れる必要はない」というのが私の見解です。

固定金利の勝ち筋と、自分なりの結論 

もちろん、どのような状況であっても絶対に固定金利が負けると言いたいわけではありません。
固定金利が勝利するシナリオも存在します。

たとえば、給料がまったく上がらない中で物価と金利だけが跳ね上がる「スタグフレーション」が起きた場合や、過去の歴史にないほどの超高速ペースで日銀が利上げを断行した場合です。
このような極端な展開になれば、変動金利の返済額は急増し、一定の支払額で守られている固定金利を選んでいた人が正解だった、ということになります。

しかし、こうした「万に一つの大災害」のようなリスクに対して、毎年何十万円もの金利差(固定化するための保険料のようなもの)を払い続けることが合理的かどうかは、最終的に個々のリスク許容度に依存する部分だと感じます。

将来のあらゆるリスクを排除して安心を買いたい人にとっては、固定金利を選ぶのも一つの正しい選択です。

ただ、少なくとも私自身の場合は、

  1. 残高が多い初期の低金利による還元が大きいこと
  2. 金利が追いつき累計で逆転されるまでのタイムラグがあること
  3. 金利上昇の裏にあるインフレによる負債の目減り効果

これら3つの構造を考慮した結果、「極端なリスクが発生する可能性は低く、十分に許容できる範囲である」と結論付けています。

住宅ローン選びに万人共通の正解はありません。
だからこそ、周囲の雰囲気や漠然とした不安に流されることなく、自分自身の考えとリスク許容度に基づいて、納得のいく選択をすることが大切なのだと思います。

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