単身赴任か家族帯同か。
インド異動に向けて、その判断をどうするかはかなり悩みました。
単純に「行くか行かないか」という話ではありません。
会社側の意向、自分の気持ち、家族の考え、今後の働き方、社内での立ち回り、将来の生活設計。
色々な要素が頭の中で同時に渦巻いており、考えれば考えるほど、逆に最適解を出せなくなっていたように思います。
そんな中、妻から放たれたある一言が、私の中の靄を一瞬で晴らしてくれました。
「これ以上会社に関わりたくないよね」
文字だけ見ると、かなりネガティブな言葉に見えるかもしれません。
ただ、実際には全く逆でした。
その言葉には不満や怒りというよりも、「もう必要以上に会社へ人生を、思考を支配されたくないよね」という、とても前向きで本質的な感覚が込められていたように感じました。
今回は、その言葉によって、私の中で単身赴任という結論に至った時のことを記録しておこうと思います。
考えすぎて、逆に動けなくなっていた
会社側から単身赴任を示唆された後、その日のうちに妻と相談を行いました。
よくも悪くも、最終的な判断のボールは私側に渡されている状態でした。
家族帯同を選択した場合、会社側も最終的にはそれを拒否まではしないだろう、という空気感もありました。
だからこそ、逆に悩みました。
会社側の意向をどこまで酌むべきなのか。
素直に応じるのは悔しくないのか。
家族帯同のメリット・デメリットはどうか。
実際に帯同した後、どのような生活になるのか。
その後の社内での立ち回りはどうなるのか。
色々な考えが同時に頭の中を回り続けていました。
もちろん、それぞれを整理して考えること自体は大切なのだと思います。
ただ当時の私は、考えを広げ過ぎたことで、逆に動けなくなっていたようにも感じています。
理屈としては色々考えているはずなのに、本当は自分がどうしたいのかが、少し見えにくくなっていたのかもしれません。
「これ以上会社に関わりたくないよね」
そんな状態の中で、妻からふと放たれたのが、この言葉でした。
「まあ判断は難しいけど、簡単に言えば、もうこれ以上会社に関わりたくないよね」
しかも、その言葉は驚くほど自然で、笑みと一緒に出てきました。
文字だけを見ると、かなり強い言葉にも見えます。
ただ、その場の空気感はまったくネガティブではありませんでした。
むしろ、不思議なくらい前向きで、心地よささえ感じる言葉でした。
そして私は、その瞬間に気付かされた気がします。
自分は、必要以上に会社へ人生を、思考を支配されたくなかったのだ、と。
会社そのものを嫌いになったわけではありません。
仕事にも感謝していますし、海外駐在という貴重な経験をさせてもらっていることも事実です。
ただ、今回の件を通して、自分の人生や家族との時間や判断まで、必要以上に会社都合へ引っ張られ続けることには、どこかで疲れを感じていたのかもしれません。
妻の言葉は、そんな自分でも気付いていなかった深層心理を、一瞬で言語化してくれたように感じました。
そしてその瞬間、頭の中を覆っていた靄が、一気に晴れていった感覚がありました。
単身赴任という結論は、前向きな選択だった
その言葉を受けたあと、私の中に残った条件は、とてもシンプルなものになりました。
・インド駐在というチャンス
・挑戦してみたい気持ち
・自分の可能性への興味
・資産形成面でのメリット
それらを考えた時、「会社と必要以上に関わらない」という前提の中で、これらを全て取りに行ける選択肢は、単身赴任でした。
もちろん、家族帯同を諦めたことへの寂しさが消えたわけではありません。
ただ、自分の中では、その瞬間にかなり整理がついた感覚がありました。
単に「会社に従った」というよりも、自分なりに優先順位を整理した結果として、単身赴任という選択に辿り着いた。
その感覚が、とても重要でした。
そして、そこからは少しずつ、インド異動に対して前向きな感情が強くなっていきました。
比較的過酷とも言われる環境の中で、自分がどこまで適応できるのか。
現地で、自分のやりたいことをどう進めていくのか。
不安がゼロになったわけではありませんが、それ以上に「試してみたい」という気持ちが大きくなったように思います。
妻の強さに、今回は完敗した
今振り返ると、あの時の妻の言葉には、単なる一言以上の意味が含まれていたように感じています。
単身赴任になれば、日本側では実質的にワンオペに近い状態になります。
その覚悟。
今後の仕事復帰についても考えていくこととなります。
その意思。
それでもなお、「これ以上会社に関わりたくないよね」と笑いながら言い切った姿には、かなり強い気持ちが含まれていたように思います。
これらは私の勝手な受け取り方ではありますが、その言葉の中には、私の将来的な転職や退職といった未来への示唆さえ含まれていたようにも感じました。
少なくとも私は、それくらい大きなパワーを受けました。
普段から、私は比較的ポジティブな方だと思っています。
物事を前向きに捉える力については、それなりに自信もあります。
ただ、今回ばかりは、妻の決断スピード、割り切り、そしてポジティブさに完敗でした。
ありがとう。
そして、これからもよろしく。
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