日本への一時帰国から無事にオランダへ戻ってきたのですが、帰国早々、ちょっとした(いや、かなり重大な)トラブルに遭遇しました。
一時はどうなることかと思いましたが、ようやく状況も気持ちも落ち着いてきたので、今後の自分への戒めとブログのネタとして記録に残しておきたいと思います。
※なお、今回の記事には一部ショッキングな描写(虫や臭いに関する記述)が含まれますので、お食事中の方などはご注意ください。
自宅で待ち受けていた異変
今回の一時帰国では、乗り換え便を利用しました。
日本からヨーロッパまでのフライトで約13時間、フィンランドのヘルシンキで乗り換えてアムステルダムまで約2時間、そこから自宅までは車で1時間以上かかります。
長旅の末、ようやく自宅に到着。「やっと家でゆっくりできる……」と疲れた身体を引きずりながら玄関の扉を開けた瞬間、鼻を突く嫌な匂いが漂ってきました。
オランダでも暑い日が続いていたため、「長期間不在で配管の水が乾き、下水の匂いでも上がってきたのだろう」と推測。
ひとまずキッチンやトイレの水を適当に流してみました。
しかし、一向に匂いが改善する気配がありません。
違和感を覚えつつも、「まあ時間が解決するだろう」と深く考えずにスルーし、荷物の片付けを始めました。
しばらくして「さて、夜ご飯はどうしようか」と思い立ち、冷蔵庫をチェック。
出発前に中身をほぼ空にしていたため、当然何も入っていません。
「あ、確か冷凍庫にピザか何かが残っていたはず」
そう思い出し、何の疑いもなく冷凍庫の扉に手をかけました。
絶望の扉と、脳の高速処理
開きかけた冷凍庫の扉。
それがまさか、開けてはならない「絶望の扉」だったとは知る由もありませんでした。
扉を開けた瞬間、全力で部屋中に解き放たれる凄まじい腐敗臭。
そして、視界を覆うコバエの大群。
人間の感覚というのは面白いもので、視覚的な情報を受信するよりも先に、脳の状況処理が超高速で完了しました。
「家に帰ってきたとき、いつも聞こえる家電の作動音がしなかったのは、冷凍庫がかどうしていなかったからか」
「つまり、最大で9日間、猛暑の中で放置されていたことになる」
「確か中身は……冷凍ピザ、冷凍ケバブ、冷凍餃子、そして鶏肉と豚肉……Oh My Gosh」
一瞬で状況と惨劇の原因が頭の中で繋がりました。
その直後、ワンテンポ遅れて眼前の地獄絵図(視覚情報)が脳に届きます。
「うん、終わってるわ」
ショックを受ける暇すらなく、圧倒的な現実にただただ呆然とするしかありませんでした。
落ち着け自分!冷静なタスク分解とゴミ問題
「OK、一旦落ち着こう」
幸いにも、いまこの場にいるのは私一人。
私がゲロ吐かなければ大丈夫・・・けどゲロ吐きそう。
とにかく冷静さを取り戻すため、頭の中で即座に処理手順をタスク分解しました。
- 引き出しを中身ごと裏庭に運搬
- 冷凍庫内の清掃
- 冷凍庫の再稼働
- 裏庭に運んだ中身の処理
- 引き出しの清掃
手順1〜3までは比較的順調にクリア。
しかし、問題は「4. 裏庭に運んだ中身の処理」でした。
オランダでは戸建て住宅ごとに専用の巨大なごみ箱が支給されており、分別ルールと収集日が厳しく決まっています。
生ごみ用の「グリーン」は毎週収集されるものの、専用の紙袋や生分解性袋に入れる必要があり、プラスチック包装などの混入は厳禁です。
しかし、目の前にある惨状から中身と包装を分別するのは、匂い的にもメンタル的にもあまりに厳しすぎる……。
迷っている間にも、どこからともなく数百匹のハエが集まってきています。
さらに異臭が広範囲に広がっているのか、ご近所さんが慌てて窓を閉めるバタンという音が精神を削ってきます。
近隣住民の皆様、本当に申し訳ありません……。
背に腹は代えられないため、時間優先で次案を採用することにしました。
何でも廃棄できる「グレー」のごみ箱を使うルートです。
次の収集日が3週間後なのが若干気になりますが、一旦それは頭の片隅に追いやり、処理速度を優先。
巨大なごみ袋にブツをすべて詰め込み、2重に固く縛ってグレーのごみ箱へ投入。
勢いに乗って手順5も完了させました。
なんとか最低限の処理は完了したものの、匂いによる吐き気と精神的なダメージがあまりに大きく、その日はなにも食べ物を口にすることができませんでした。
特急呪物の完全封印と、消臭作戦
翌日からは通常通り事務所に出社したものの、頭の中は自宅のグレーのごみ箱に封印した「アレ」のことでいっぱいでした。
さすがに3週間も匂いを封印しきれるはずがありません。
このままでは近隣を巻き込んだ「第二次異臭テロ」が発生してしまうのは時間の問題です。
アパート住まいの駐在員に事態を話したところ、救いの手が差し伸べられました。
アパートの場合は敷地内に地面埋め込み型の巨大な共用ごみコンテナがあり、24時間365日いつでも廃棄可能とのこと。
地下コンテナへの完全封印なら二次被害を防げると判断し、ごみ投入用のアクセスカードを拝借させてもらいました。
本当に感謝しかありません。
しかし、次の問題が立ちはだかります。「アレを車に載せて運ぶ約15分間で、車内がどうなってしまうのか」ということです。
悩んでいても解決しないため、封印したごみ袋をさらに袋で2重に包み、厳重警戒態勢で車へ積み込みました。
中身には一切触れていないはずなのに、もう既に手が臭いです。
車の窓は全開。
赤信号で停車して匂いが充満するのを防ぐため、できる限り信号の少ないルートを選択して即出発しました。
それでも容赦なく車内に広がる激臭。
まさに「特急呪物」を運搬している気分でした。
なんとかアパートの地下コンテナへ投げ込み、無事に封印完了。
しかし、戦いはまだ終わりません。
手も、車も、自宅も、すべてが尋常じゃない匂いに包まれています。
帰り道にスーパーで消臭剤を大量購入し、車内、玄関、キッチン、リビングに配備。
冷凍庫内にはコーヒーの粉(かす)を仕込みました。
どこからともなく冷凍庫内に侵入しては凍死していくコバエたちを定期的に掃除しつつ、数日かけて復旧作業を続けました。
まとめ:教訓は次の舞台(インド)へ
死闘から一週間、現在の被害状況と復旧具合は以下の通りです。
- 車内の臭い:強力な消臭剤の香りで上書きされ、一旦クリア(消臭剤の効果が切れた後にどうなるかは未知数)
- 家の中:換気と消臭剤のおかげでクリア
- 冷凍庫内:ほぼクリア(扉のゴムパッキンに染み込んだ匂いが時たま香るものの、実用上は問題ないレベルまで復活)
一時はどうなることかと思いましたが、なんとか生活空間を取り戻すことができました。今回の痛烈な体験から得た教訓はただ一つ。
「長期間家を空けるときは、冷凍庫の中身も計画的に使い切ること」
これに尽きます。
そしてふと思いました。
これから私が向かう赴任先・インドは、停電がかなりの頻度で発生する地域。
この教訓は、必ず次に活きる。
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